2011年3月11日に東日本大震災があり、東京電力福島原子力発電所の事故が起き、放射性物質を含むプルームが放出され、関東まで来ていました。千葉県北西部では降雨により、放射性セシウムが地上に落ちました。当時、千葉北西部で子育てをしていた人、大学の研究者、幼稚園の園長…子どもを守りたいと思う人々が測定器を購入し、空間線量を測定しました。セシウムの汚染を把握した人々がSNSで繋がり、通学路や学校、幼稚園の放射線量を共有していきました。柏市、松戸市、我孫子市…市民の声をうけ、市も汚染状況を把握し、特措法上の汚染状況重点調査地域の指定を受け、線量測定や線量低減作業などにとりくんだのでした。
甲状腺は、のどぼとけの下、気管の前にあって、蝶のような形をしています。成長やエネルギーの代謝を促す「甲状腺ホルモン」を分泌して、全身に届けるとても重要な働きがあります。
甲状腺ホルモンの生成には「ヨウ素」が不可欠であり、普段は食べ物や飲み物などから、このヨウ素(”安定ヨウ素”とよばれる)が取り入れられ、甲状腺に蓄積されています。
原発事故等で大気中に放出された「放射性ヨウ素」も、同じヨウ素なので、呼吸によって、あるいは食べ物や飲み物などから体内に取り込まれることで甲状腺に蓄積されます。
チェルノブイリ原発事故後に、小児甲状腺がんは放射性ヨウ素をとりこんだことに起因すると認められました。しかしながら、福島原発事故後に放射性プルームの拡散予測の情報も知らされず、屋外退避や安定ヨウ素剤を飲ませるなども徹底できず、十分に子どもたちを守ることができませんでした。
福島県は2011年10月から、事故当時18歳以下であった県民に、2年に一度「甲状腺検査」を実施してきました。2019年6月には、原発事故後に甲状腺がんと診断された事故当時18歳以下の方は230人と発表されました。
放射性ヨウ素による汚染については、原発事故後、福島県内はもちろんのこと、福島県外できちんと測定されませんでした。千葉県北西部に放射性セシウムによる汚染がありましたから、放射性ヨウ素による汚染があったかもしれない…。原発事故当時、何も知らされずにいた子どもたちに、後々、健康に影響がでないか、甲状腺エコー検査については、松戸市、柏市、我孫子市、野田市、鎌ヶ谷市、白井市では一部費用の助成をしています。
2013年9月、『子ども達が将来も元気に暮らすためには、今、予防原則の見地に立って、
調査を始めなければならない』という、大勢の市民の湧き上がる思いから、茨城県、千葉県の市民が呼びかけ人となって、関東の汚染地域で健康管理調査(甲状腺検査)を行うための「関東子ども健康調査支援基金」が設立され、原発事故当時に放射性プルームが飛んでいた関東5県で、毎年、甲状腺エコー検査を行い、のべ10,000人以上の方が受診されています。
福島県県民健康調査検討委員会「甲状腺検査」評価部会では部会長の鈴木元氏が、福島における甲状腺検査は、事故当時0歳から4歳の方が高校生になるまではみていく必要があると発言しています。
甲状腺がんは腫瘍が大きくならないと自覚症状がないため、「腫れあがっている」「飲み込みにくい」など自覚症状で見つかった時には、甲状腺を全摘し、リンパ節への転移もみられるケースもあります。甲状腺エコー検査をして、健康状態を積極的に見守っていこうと続けています
2020年、松戸市内での検診は3月15日(日)と決まりました。これまで受けていない方、松戸市外の方も受診できます。事前にお申込みが必要です。どうぞこの機会に受診してみてください。
甲状腺エコー検査@松戸
【 日 時 】 2020年3月15日(日) 10:30~16:30
【 会 場 】 松戸市 明市民センター (松戸市上本郷3018-1)
【 協力医 】 午前:野宗 義博 医師 (広島国際大学 医療経営学部教授)
午後:坂口 智一 医師 (みさと健和病院)
※ 検診では医師が説明し、その場で検査結果をお渡しします。
【 対 象 】 5~28歳の方(福島原発事故当時18歳以下)を優先
【 申込み】 申込オンラインフォームより
メールでの申込方法は基金ホームページにてご確認下さい。
【お願い】 受診者お一人あたり2,000円の実費負担をお願いします。
【問合せ】 kikin.kensin@gmail.com 090-6793-2059(木本)
【 主 催 】 関東子ども健康調査支援基金
【 協 力 】 こども東葛ネット まつど検診実行委員会
常総生活協同組合
チラシはこちら 甲状腺エコー検査@松戸 2020