2012年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」は昨年、8月30日に「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」(基本方針案)が公表されましたが、「支援対象地域」を福島県33市町とし、関東や東北の汚染地域は支援対象地域外となりました。「汚染状況重点調査地域」いわゆる汚染エリアとなった、茨城、千葉北西部、埼玉南東部の母親達は、「子ども達にせめて健康調査を!」と、請願署名を提出し、復興庁や環境省との交渉を続けてきました。茨城県の自治体や千葉県の9市も要望をあげてきました。
関東や東北の健康管理については、「専門家会議」で検討するとされたのを受け、「こども東葛ネット」をはじめ、関東の汚染地域の母親たちや自治体は、「東京電力福島第一原子力発電所事故による住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」で、関東の健康管理のあり方や医療費の減免などを議論してもらえると期待し、毎回傍聴に参加して、注視してきました。それはこの会議趣旨に「福島近隣県を含め、国として健康管理の現状と課題を把握し、そのあり方を医学的な見地から専門的に検討」とあるからでした。
しかしながら、会議の内容は被ばく線量の評価に関する限定的な議論や福島県民健康調査の結果にとどまり、関東についての議論が充分にされたとは言えません。環境省から参考資料として示されるデータは少なく、原発事故を真摯に受け止め、積極的に情報収集・分析をしているようにはみえません。会議に参加している委員をはじめ、外部専門家からの「関東の汚染地域の初期被ばくを含むあらゆるデータを集め、検査をもって見守るべき」という意見は反映されませんでした。
専門家会議の座長らは「何の症状もない子どもに検診をして偽陽性の場合、結果が解るまでの心理的ストレス、細胞診の肉体的ストレスが問題だから、検診はすべきでない」としていますが、福島県民健康調査に関わっている臨床医の委員は、「甲状腺がんは、自覚症状がなく、自覚症状がでてからでは手遅れだ」と反論してきました。松戸市の子ども達は、初期被曝・継続被曝の両方のリスクを負っています。この子ども達には、これから長い人生が待っています。手遅れがあってはならないと思うのです。
データ収集や低放射線の影響を追求しようともせず、検診をはじめた自治体を支援しないという、汚染地域に暮らす「人」を見ていない専門家に不安を感じます。昨年は、2011年3月15日前後だけでなく、21日前後にも関東で汚染のピークが発生していたことや、セシウムボールというガラス状の放射性粒子が福島県外に届いていたことが、新たに発表されました。十分なデータ収集や検証なしに、関東における健康影響はないとは言えないと思います。
「放射能からこどもを守ろう関東ネット」では、昨年9月4日に、関東に関する議論が少ない点について、質問と要望書を提出しました。主には関東での線量評価の捉え方への質問(母乳データ・吸入と経口被ばく・屋内被ばくの係数・最近発表の大気汚染常時監視システムからのデータ)、関東の汚染に詳しい専門家の招致要望、会議へ市民の参加の要望についてです。また、松戸市をはじめとする汚染状況重点調査地域の千葉県9市は、昨年11月に9市で要望書を提出してくださいました。
関東の汚染地域について、十分な議論が出来ず、松戸市や茨城県牛久市などが甲状腺エコー検査の助成をしているにもかかわらず、実状に則した適正な検診を支援する方向をはっきりとは打ち出さなかった「中間とりまとめ」をそのまま受け入れることは出来ません。
環境省は、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間とりまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性」に関する意見募集をしています。(1月21日が締め切りです)
市民のために、責任をもって、子どもの健康を見守り、検診にとりくんでいる自治体を、「原発事故子ども被災者支援法」第13条に則り、国が支援するよう、一緒に、声をあげてください!パブリックコメントを提出しましょう!
あきらめず、行動することが大切です。心の中で思っても変わりません。パブリックコメントは集計され、公表されます!
「汚染状況重点調査地域となった地域できちんと調査し、子ども達の健康を見守ってほしい!」「放射線対策や健康調査の助成などにとりくんでいる自治体を支援してほしい!」と、訴えていきましょう。声をあげるのは、私たち母親、父親、市民しかいません。あなたの力が必要です、子ども達のために。
◆提出方法
パプリックコメントの提出方法
※以下は環境省のサイトからの引用です。
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案)」に関する意見(パプリックコメント)募集についてhttp://www.env.go.jp/press/100098.html
(1)募集期間
平成26年12月22日(月)から平成27年1月21日(水)まで
(郵送の場合は、平成27年1月19日(月)必着となりますのでご注意ください。)
(2)意見の提出方法
●インターネットにて提出する場合はこちら
オンラインら
① オンラインにて:e-Govから→ http://goo.gl/aDyuRS
- 郵送またはFAXにて提出する場合は
郵送の場合は封筒に赤字で、FAXの場合は題名に「「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案)」に関する意見」と記載してください。
なお、提出の意見は、日本語に限ります。また、上記以外の方法(電話等)による御意見は受け付けかねますのであらかじめ御了承ください。
【記入要領】
[宛先]環境省総合環境政策局環境保健部放射線健康管理担当参事官室 健康管理担当
[件名]「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案)」に関する意見
[郵便番号]
[住所]
[氏名] (企業・団体の場合は、企業・団体名、部署名及び担当者名。個人の場合は、職業等記入してください。)
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[意見]
・該当箇所
・意見内容
・理由
【提出先】
〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
環境省総合環境政策局環境保健部放射線健康管理担当参事官室 健康管理担当
(FAX:03-3581-3368)
◆参考になるサイト
FoE Japan 「環境省がパブコメ募集中:福島原発事故に伴う健康管理…ポイントをまとめました」
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